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はじめに
以前の記事「MVV見直しの舞台裏(その3 ~Visionの沼~)」では、Vision を「日々の判断に立ち返る基準」として定義し、一文に落とし込むまでの葛藤を紹介しました。
Vision が定まり、次に向かったのは Value(バリュー) の策定です。
Mission と Vision が「何のために」「どうあるべきか」を示すものだとしたら、Value は「そのために日々どう振る舞うか」を定めるもの。
一人ひとりの行動に直結するぶん、抽象的すぎれば使われず、細かすぎれば覚えられません。
今回の記事では、Value をどのように整理し、最終的に形にしていったのか。Value策定の「果て」を書いてみます。
まず決めたのは、Valueの「型」
Value策定で最初に合意したのは、内容そのものではなく「型」の定義でした。
会議を通じて導き出した方針は、次のとおりです。
・Valueの構成は 「見出し(柱) + 本文」 とする
・本文の長さは 20文字前後(長くても25文字以内) を目安にする
・ただし「一文」に固執はしない(分解した方が分かりやすいなら増やしてよい)
・見出しに柱のワードを直に入れる必要はない(見出しから行動が想起できればよい)
この段階で置いたゴールはシンプルでした。
「結果、何をすべき?」の疑問符をすべて取り除く。
Valueを読んだ人が迷わず行動に移せる状態にする。そこから逆算して言葉を削っていく方針です。
柱の整理で見えた「外すべきもの」と「起点」
次に取り組んだのが、柱のグルーピングです。
当初は「技術」「お客様」「チームワーク」「効率化」「価値創出」「挑戦」など、候補がいくつも並びました。
これを Vision の構造(自らをアップデートし/テクノロジーで/社会の明日を変える)に当てはめて整理していくと、見えてきた結論がありました。
「価値創出」は柱そのものではなく、Valueに沿った行動の結果として生まれるもの、という結論です。
Valueで定めたいのは「日々の行動指針」です。
その指針に基づいた行動の積み重ねこそが「価値創出」と呼ぶのだと結論づけをし、Valueの柱としては外すことに決めました。
また同時に、もう一つ大きな論点が浮かび上がりました。
それは「技術」を主語にすると、Mission・Visionとの繋がりが弱くなりやすい、という点です。
技術は大事なピースではあるものの、起点として置くべきは 「学び」 ではないか。
この認識が固まったことで、見出しは「学び」から 「成長」 へと整理されていきます。
学び:手段・プロセス寄りの言葉
成長:結果・方向性寄りの言葉
つまり、「見出し=成長」「本文=学びのプロセス」 とすることで、意味がきれいに収まる。
こうして、Value見出し(柱)は「成長」「誠実」「チームワーク」「カイゼン」「挑戦」の5つに確定し、本文も順に磨き込んでいきました。
最後に残したのは、5つの「行動の軸」
最終的に私たちが採用した Value は、以下の5つです。
1. 成長 - 主体的に学び、昨日の自分を超えていく
2. 誠実 - 真摯に向き合い、信頼を築く
3. チームワーク - 互いの強みを活かし、成果を最大化する
4. カイゼン - 日々の改善を積み重ね、品質と効率を高める
5. 挑戦 - 現状に満足せず、常に一歩先へ踏み出す
意識したのは、「どれか一つ」ではなく「セットで機能する」ことです。
そして、順番があるとすれば起点となるのは 「成長」 です。主体的に学び続ける姿勢がないと、改善も挑戦も続かないし、誠実さも形だけになりやすい。まずは個々が学び、昨日の自分を更新し続けることを、Value全体の土台に置きました。
そのうえで 「チームワーク」 は、成長を個人で終わらせないための要素です。強みを掛け合わせ、知見を共有し合うことで、学びをチームの成果として再現できる形にします。
また、これらのValueは相互にバランスを取り合うことも意識しました。
「挑戦」だけが前に出ると無理が出やすく、「誠実」だけが前に出ると守りに寄りやすい一方、「成長」と「カイゼン」は似て見えますが、個人の学びと、仕組みの改善という役割の違いを持たせています。
もちろん、言葉を決めて終わりではなく、「これをどう使い、どう定着させるか」がこれから先に続く新たな課題となります。
まとめ
今回は、Value を「日々の行動の判断軸」として定義し、形にするまでの舞台裏を紹介しました。
策定プロセスを通じて痛感したのは、
・正しいことほど決まらない
・足すより削るほうが難しい
・情報の咀嚼と洗練を怠ると、腹落ちから遠のく
という点です。
Mission、Visionといった土台が固まっている状態であっても、すぐに合意が形成されるものではありません。
ゴールが見えてきたからといって油断せず、妥協せず、持続的に駆け抜けることが大事なのだという教訓を、新MVV策定全体を通じて得ることができました。
MVVの再策定は、これでひと区切りです。
ただし、MVVは決めた瞬間から自動で浸透するものではありません。
Value を日々の会話や振り返りに載せ、「使われる言葉」にしていくことが、ここからの取り組みになります。

その取り組みの一つとして、早々にクレドカードを作り直しました。
以前のMVVのクレドカードは3つ折り名刺でしたが、今回はより携帯性を高めた2つ折りサイズへとアップデートしました。
いつもの技術ネタとは少し毛色が違いますが、
「どんな価値観と前提でコードを書いている会社なのか」を少しずつ知っていただくきっかけになれば嬉しいです。
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