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12.19
2025

MVV見直しの舞台裏(その2 ~Mission決め~)

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はじめに

以前の記事「MVV見直しの舞台裏(その1 ~導入編~)」で、MVV再策定の背景と、「部分修正」ではなく「一新」へ舵を切るまでの全体像を紹介しました。
今回の記事では、実際に一新へ踏み切ったあとに直面した「いちばん泥臭いところ」

 ・会議がうまく進まない、終わらない
 ・アンケート(社員の声)を大事にするほど、逆に迷ってしまう
 ・Missionが決まらない

…といった、再策定プロジェクトの序盤~中盤に直面したリアルを掘り下げていきます。
会議進行を経験された方なら「あるある」と共感いただける部分があるのではと思います。

 

終わらない会議、決まらないMission

MVV再策定の議論で、最初に詰まったのがMissionでした。そして結果的に、決定までに最も多くの時間を割いたのもこのMissionです。
MissionはMVVの起点であり、ここが定まらないとVisionもValueも決まりません。

Missionには、さまざまな期待が乗ります。

 ・当社らしさ(独自性)を尖らせたい
 ・間口を広く、事業や技術の変化にも耐える言葉を選びたい
 ・スッと出てくる、分かりやすく、覚えやすいものにしたい
 ・解釈がズレない、行動に落とし込みやすいものにしたい

どれも大事ですが、全部を載せきるのは難しい。
この綱引きが起きると、会議は簡単に“終わらない構造”になります。Missionが決まらないと後続のVision・Valueも決まらないため、焦りも出てきます。それでも歩みを止めまいと、議論を重ねました。

 ・アンケートを取り、結果から草案を起こして議論する
 ・草案を参考に、社員一人ひとりがMission案を考えて発表し、議論する
 ・発表で出てきたキーワードを厳選し、その結果をもとに草案を起こして議論する

これらを繰り返す中で、次の2つが重要だと気づきました。

 ・1人で抱え込んで考えすぎる前に、早めに意見を求めること
 ・議論の下準備をしっかりと行うこと

シンプルで当たり前のことではありますが、これこそが“終わらない構造”から抜け出すための大事な糸口でした。
ただ、もう一つ厄介な問題が出てきます。それは、意見を集めれば集めるほど、言葉は「無難」に寄り、逆に決めづらくなる…という問題です。

 

社員の声=正解?アンケートの落とし穴

議論を重ねる過程で行ったアンケート、意見の募集自体は、とても有効でした。共感できる要素を可視化できたからです。
一方で、議論が進むほどに気づきました。「全員の意見を反映する」を真面目にやるほど、Missionは決めづらくなる…と。

落とし穴は主に3つありました。

 ・誰も反対しない言葉ほど、当たり前になる(結果として“らしさ”が薄まる)
 ・同じ単語でも解釈がズレる(人によって前提が違い、議論が噛み合わない)
 ・意見を足すほど候補が増え、選べなくなる(良い案が増える=決まらない)

そこで、アンケートを「答え(正解)」ではなく「材料」として扱うことにしました。
集まった意見の共通項を抽出し、最後は削ぎ落とす(=シンプルにする)方向でMissionを磨いていったのです。

 

結局決め手は『シンプル・イズ・ベスト』

意見を集めるほど候補は増えます。候補が増えるほど、決められなくなります。
良い候補同士を掛け合わせると、Missionはどんどん長くなり、解釈も増え、結果として刺さらない。
そこで「足して完成させる」ではなく、「削って研ぎ澄ます」ことにしました。

そして最終的に、私たちが選んだMissionが、

 「明日を変えていく」

でした。短く、直球勝負です。

ちなみに、これまでのMissionは以下でした。

 「これまで培ってきたPython技術を通じて『お客様の顕在的・潜在的課題』を解決し、DX化に貢献する」

このMissionもまた、より良い「明日」へと「変えていく」ことを会社の使命として掲げています。
今回その根っこの部分は変えず、技術や事業が変化しても揺らがない“本質だけ”を残す形に落ち着きました。

 

まとめ

最終的に導き出した「直球勝負(シンプルさ)」は、新MVVづくりの一貫したコンセプトとなりました。
その考え方は、後続のVisionやValueにも設計思想として受け継がれていきます。
コーディングにおいても、KISSの原則(Keep It Simple, Stupid)に沿う形で、シンプルにしておくことは重要です。
社員全員が「技術者」だからこそ、このMissionにたどり着いたのではと思います。

また、私自身が再策定の主導者として会議進行(ファシリテーション)を担当し、全員の意見を集約しつつ方向性を示すことの難しさと、その重要性を痛感する機会となりました。
こういった経験の積み重ねが「明日を変えていく」原動力になっていくのだと思います。

今回の記事も技術ネタとは少し毛色が違いますが、開発チームの判断軸や働き方の土台がどのようにつくられたのかの一部を紹介させてもらいました。
Missionが決まり、次はVision、そしてValueを策定していくことになるのですが、その際の苦労や学びについては、また別の記事で紹介していきたいと思います。

「どんな価値観と前提でコードを書いている会社なのか」を少しずつ知っていただくきっかけになれば嬉しいです。



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